【アレフ修行の危険性④】アレフの密教修行の問題2 「グルがいないと修行できない」ことは過ち

 (2012-05-24 19:55:31 の記事) 

アレフの密教修行の問題 ①麻原を絶対とすることは間違っている 
の続きです。

そして、こうしたオウム・アレフの反省に基づいて、わたしたちは、ひかりの輪で、
アレフのように、グルと絶対者・崇拝対象とするグルイズムを超えた
修行法・宗教観を形成してきました。
  
そのために、ヨーガ・仏教の教えを再度研究し、
「グルがいないと修行ができない」という考え方は、仏教やヨーガ全体の考え方ではない、
と結論しました。
  
仏教の修行においては、密教でこそグルが強調されますが、
釈迦牟尼自身が説いた上座部(テーラヴァーダ)の教えでは、
ご存じのように、それはありません。
 
むしろ、釈迦牟尼は、

「釈迦牟尼を含めて、人を崇めることを否定する教えを説いた」

ということが、仏教研究上は、広く認められている事実です。
弟子たちに、「めいめいの自己と法則を帰依処とするように説いた」ということです。
  
ですから、アレフが主張する「グルがいないと修行できない」という考え方は、
間違ったグルイズムが強調されたオウム真理教の一種の固定観念」
でしかないのです。
  
では、これらの釈迦牟尼の教えについて、以下に引用したいと思います。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『大パリニッバーナ経(大完全煩悩破壊経)』(岩波文庫『ブッダ最後の旅』中村元訳)
  
アーナンダよ、修行僧らはわたしに何を待望するのであるか?
わたくしは内外の区別なしに(ことごとく)法を説いた。
完き人の教法には、何ものかを弟子に隠すような教師の握拳[にぎりこぶし]は、存在しない。
  
『わたくしは修行僧のなかまを導くであろう』とか、
あるいは『修行僧のなかまはわたくしに頼っている』
とこのように思う者こそ、修行僧のつどいに関して何ごとかを語るであろう。
  
しかし向上につとめた人(※漢訳では「如来」となる)は
『わたくしは修行僧のなかまを導くであろう』とか、
あるいは『修行僧のなかまはわたくしに頼っている』
とか思うことがない。
向上につとめた人は修行僧のつどいに関して何を語るであろうか。
  
アーナンダよ、わたしはもう朽ち、齢をかさね老衰し、人生の旅路を通り過ぎ、
老齢に達して、わが齢は八十となった。

アーナンダよ。譬えば古ぼけた車が皮紐の助けによってやっと動いて行くように、
わたしの車体も皮紐のたすけによってもっているのだ。
  
しかし、アーナンダよ、向上につとめた人が一切の相をこころにとどめることなく
一々の感受を滅したことによって、相のない心の統一に入ってとどまるとき、
そのとき、かれの身体は健全なのである。
  
それ故に、アーナンダよ、この世で自らを島(灯明)とし、自らをよりどころとして、
他人をよりどころとせず、法を島(灯明)とし、
法をよりどころとして、
他のものをよりどころとせずにあれ。
(中略)
  
 アーナンダよ。今でも、またわたしの死後にでも、
誰でも自らを島とし、自らをたよりとし、他人をたよりとせず、
法を島とし、法をよりどころとし、
他のものをよりどころとしないでいる人々がいるならば、
かれらはわが修行僧として最高の境地にある
であろう。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
  
この経典を見ると、釈迦牟尼は、
「自分が教団の指導者である」ということを自ら否定していることがわかります。
その代わり、「めいめいの自己と法をより所にすべきである」としています。

次に引用する経典では、
釈迦牟尼が、「私(釈迦)を仰いでも何の意味もない」と言明する部分があり、
釈迦牟尼個人を崇拝してはならず、
崇拝すべきは法である
ことを示している経典として、有名なものです。
  
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
『サンユッタ・ニカーヤ』(相応部経典)より
  
釈迦は、弟子・ヴァッカリの余命が幾許もないと聞き、家を訪れたが、
その時、病いに臥せていたヴァッカリは、
「末期の思い出に、今一度、世尊の御顔を仰ぎ、御足を頂礼いたしたいと思いました」
と言った。

その言葉に応えて釈迦は死期の近いヴァッカリに、厳しく言い放った。

汝は、この私の爛懐の身(壊れ爛れる無常の体)を見てもなんにもなりはしない。
 汝はかく知らねばならない。法を見るものは我を見る。
我を見るものは法を見る」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
  
次に引用するのは、ダライ・ラマ法王の見解です。
この著書の中で、法王は、「師ではなく、教えに対する信を持て」と説いており、
しかも、それを示唆する釈迦牟尼の教えを引用しています。
  
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ダライ・ラマ十四世著『宇宙のダルマ』より
  
この解釈学的なアプローチで重要なのは、大乗の四つの信の理論です。それは、
  
    (1)師ではなく教えに対する信、
    (2)言葉の表現ではなくその意味に対する信、
    (3)一時的な意味ではなく真実の意味に対する信、
    (4)知識ではなく深い体験から生まれる超越的な智慧に対する信
    からなります。
  
四信の理論の一番目は、教えを聴いたり論書を読んだりするとき、
そこで述べられていることの妥当性を、
語り手の名声や財産、地位、権力にもとづいて判断すべきではなく、
教えそのものの価値にもとづいて判断すべきだということです。
二番目の理論では、著作の判断は文章の形式によってではなく、
主題についてどれだけしっかり論じているかによって行うべきだと言っています。
三番目の理論は、命題の妥当性について考えるときは、
その一時的な意味ではなく、究極的に言わんとしている内容によって、
判断すべきだと命じています。
最後に、四番目の理論は、真理を信頼する場合、
経験を通して獲得した智慧と理解の力にもとづくべきであり、
理論的知識だけに頼ってはいけないと述べているのです。

このアプローチの妥当性を示す証左となる一節を、
ブッダ自身の言葉の中に見いだすことができます。
彼は次のようにすすめています。
  
「おお、比丘たち、そして賢者達よ、あたかも金職人が、焼いて、切って、擦って、
 金を試すように、私の言葉を、吟味して、受け取りなさい。
  私への崇拝の念だけで受け取ってはいけない。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

こうして、グルイズムを非常に重視してきたチベット密教において、
その最高指導者であるダライ・ラマ法王が、
「師ではなく、教えに対する信」を強調していることは、
非常に興味深いことだと思います。
 
また、アレフでは、密教だけでなく、ヨーガの修行を進めるためにも、
グルへの帰依が不可欠だと説いていますが、
ヨーガ根本経典においては、グルのいない場合の修行の方法が説かれています。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――  
佐保田鶴治著『ヨーガ根本経典』より

しかし、本物のグルに出会うということは今日まれな幸運ですが、
昔も事情は変わっていなかったと思います。
そこでグルに出会うことができない運命にある行者は絶望的かというと、
そこに救いとなるのが、自在神のめい助を祈願するという方法です。
自在神はグルのグルなのです。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
  
そして、人を神やグルとしない実践を行う「ひかりの輪」では、
現在、修行として、三悟心経を実践しています。
これは、すべての人の中に、「仏性」という仏に至る可能性、種子があると考える
大乗仏教の教えが入っています。

これは、修験道の修行を行うなかで「般若心経」を繰り返し読経したことから
生まれたものですが、その内容は、オウムの誤ったグルイズムの教えを
越えていくものでもあります。

「万物恩恵、万物感謝、
 万物仏、万物尊重、
 万物一体 万物愛す」

という短い経文を、意味を考えながら唱える修行なのですが、

「万物を恩恵と見て感謝する、
 万物を仏と同等に平等に尊重する、
 万物を一体と見て愛す」

という意味で、オウムの精神的問題を乗り越える内容でもあり、

「万物恩恵、万物感謝」は、自分たちを支えている社会への感謝を忘れて、
それを攻撃した、麻原・オウムの教義を乗り越えるものです。

「万物仏、万物尊重」は、麻原のみを仏の化身として絶対視し、
オウム以外の人々を軽蔑した傲慢な教義を乗り越えるものです。

「万物一体、万物愛す」は、自分たちと社会を強く区別し、
社会を敵視した麻原やオウムの教義を乗り越えるものです。
  
こうした、心の訓練を行うことが、オウムの誤ったグルイズムに陥らずに、
心を本当に豊かにしていく道だと考えて実践しています。

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▶元・オウム・アレフ信者の経験から、150名以上の脱会を支援してきました。
▶アレフの内情も知り尽くしています。
▶アレフ勧誘の前段階・アレフを隠した偽装ヨガ情報を公開中。おかしいと思ったらこちらを
▶今なお続く、アレフの諸問題の告発と対策を行っています。
▶ひかりの輪STAFFの4人が運営しています。(主な担当者:山口・宗形・広末・細川)

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