【麻原の人格分析②】 「空想虚言症」の特徴と、その特徴に符合する麻原

(2012-03-30 19:00:56 の記事)
前回の 【麻原の人格分析①概論】 オウム問題の解決のために必要な、麻原の人格分析
の続きです。

◎「空想虚言症」の特徴
 
まず、「空想虚言症」とは何かについて述べてみます。

心理学の専門家の中には、麻原について、
この空想虚言症を呈する人格障害者=「空想虚言者」とする専門家がいます。

なお、この空想虚言症は、後で述べる「誇大自己症候群」という
横断的概念とオーバーラップするものです。

以下が、この概念に沿った麻原の特長となります。


 空想力が異常に旺盛で、空想を現実より優先してしまう。

 麻原は、自分の見たヴィジョンに基づいて方向性を決定していました。


 一見才能があり、博学で、地理・歴史・詩歌・技術・医学など、
   何くれとなく通暁しており、話題が豊富であるが、
   よく調べてみると、その知識は、
   読書や他人の話からの断片の寄せ集めであることがわかる。


 麻原の説く教義について、ヨーガ、原始仏教、チベット仏教、
   キリスト教などの「寄せ集めである」とは、よく指摘されることです。


 弁別がよどみなく、当意即妙の応答が巧みである。

 麻原を信奉していった理由として、多くの弟子たちが、
  麻原の「どんな疑問に対しても、即座に、明快な回答がされる点」
  をあげている。



 好んで難しい外来語や、こけおどしの言葉を並べ立てる。


 人の心に取り入り、それを操り、関心を惹くのがうまい。

 弟子の少なからずの者たちは、麻原の親身な関わりによって
  麻原への信奉を深めていった。


 自己中心の空想に陶酔し、他人の批判を許さない。


 万能感と支配幻想
 
 麻原が自分を「救世主」と宣言していることは、まさにこの特徴を表している。


 責任転嫁

 教団が、犯罪違法行為を行なっていることで、
  社会から批判されていることを棚に上げて、
  「宗教弾圧である」と言っている点はこの特徴に当てはまる。
  この点は枚挙に暇がない。


 実利的な利益の重視

※④⑥⑨について特に記述してないが、これらの要素もあった。


 「 こういった特徴を持つきわめて空想的な彼らは、
 巧みな作り話で人を魅了するが、作り話の嘘を語っているうちに、
 当の本人もそれを事実であるかのように思い込んでしまいがちとなる。
  そして、うぬぼれと支配欲に駆られるあまり、
 空想的地位や役割を演じようと熱中したあげくに、
 思ったことが事実でないことを忘れて、
 その実現に駆り立てられてしまうこともたびたびある。」
   (武野俊弥『嘘を生きる人 妄想を生きる人』新曜社、2005)


要するに、嘘と真実、空想と現実の区別がつかなくなってしまうのです。
空想された架空の立場、役割に心からなり切って行動します。

ここで、麻原以外に、人々に「救世主」のように崇められる
カリスマ的な「空想虚言者」の実例があります。

「救世主」と「悪人」という矛盾を併せ持った、カリオストロという人物の例です。
カリオストロの例は、麻原の「矛盾」を、
「空想虚言症」という概念によって解くことができることを示しています。


◎麻原の説いた「演技の修行」と「空想虚言症」の関連


さて、この空想虚言症に関連することとして、
麻原が、弟子たちに説いていた「演技の修行」というものがあります。

それは、自分が、解脱・悟りを達成していないのに、
あたかも達成した者であるかのように「演技」する修行です。

麻原は

「演じているうちに、それが本物になる」

と説いていました。
これは、ある意味で、「空想虚言症」を意図的に実践するということにもなります。

そして、最も重要なことに、この教えを説いた麻原自身が、今から思えば、

「最終解脱者を演じていた可能性」

がないかということです。

麻原のいう「最終解脱」とは、その状態がどういうものであったか、
最終解脱したのがいつなのか、相当にあいまいなものであったということが
推測される証言が複数存在します。

以下、本対策室の宗形真紀子著『二十歳からの20年間――オウムの青春の魔境を超えて』三五館 より抜粋でご紹介します。

 じつは、麻原の最終解脱の定義や体験はあいまいなのです。
書籍などでは一九八六年にヒマラヤでパイロット・ババ師と会って、
最終解脱したことになっていますが、それは事実ではありません。

 実際、その時点からパイロット・ババ師とはすれ違いが始まっており、
麻原の最終解脱は、他の聖者に認められたものではなく、
自己認定でしかない
のです。
 そして、麻原自身も、上祐などの側近には、最終解脱の体験は
ヒマラヤより前のもので、
ヒマラヤで解脱したことにしておいたほうがイメージがいいから」
と語っていたそうです。

 では、麻原が最終解脱したと自己認定をしたのは何がきっかけだった
のかというと、それは、やはり、彼自身の内的な体験でした。
 九一年のある写真雑誌の取材の際に、
麻原は、自身が最終解脱の体験としている体験を初めて語りました。
 それまで信者にも語ったことがありませんでした。

しかし、記者は、それが客観的には麻原の内的な体験にすぎなかったので、
「なぜそれが最終解脱と言えるんですか?」という素朴な質問を
麻原に返しました。それに対して、麻原は、
「だって、自分の周りに神々が現れて
 たいへんな祝福をしてくれたんですよ」

という趣旨の答えをしましたが、
当然、記者は十分には納得しませんでした。

 このように、
「神々が祝福してくれたから、最終解脱だと判断した」という、
神ではないものを、本物の神の体験と思い込み、
最終解脱と判断したのが、
麻原彰晃の魔境の重要な要因の一つなのではないかと思いました。
 それより前に、麻原はかつて魔境に陥った経験から、
魔境の警告もしていたので、おそらくは魔のような経験をしていたと思われます。
その麻原が、魔境を抜けて最終解脱したと思っていたのは、
じつは神ではないものを神と思い込んだ、もう一つの魔境の体験にほかならないと思うのです。


そして、上記のカリオストロの例ように、
空想虚言者の性質として、
「救世主になりきってしまう」ということがあることがわかります。

そして、麻原の場合も、ある意味で、そうだったのではないか、と推察できます。

「巧みな作り話で人を魅了するが、
作り話の嘘を語っているうちに、
当の本人もそれを事実であるかのように思い込んでしまいがちとな
る」。

麻原の最終解脱も、この「空想虚言症」
の特徴と同じだったのではないか。

こう考えれば、さまざまな残忍な事件とは
相容れない麻原の姿を体験したがゆえに、
彼をどうとらえてよいかわからない信者や元信者の方々は、
麻原の能力と人格を、「空想虚言症」の特徴として、
理解することができるのではないか、と思います。

※より詳しい内容が以下に書かれていますのでご覧ください。
【2】「空想虚言症」に基づく、麻原の人格分析
http://hikarinowa.net/kyokun/generalization2/psychology2/04-2.html

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